
収納に関するまめ知識や“なるほど”情報をお届けします。

すっきり片づく収納の法則のひとつに「見える化」があります。日本の仕舞いこむ収納ではモノを探すストレスがつきまといますが、欧米では一瞥してモノのありかが分かるような収納を心がけています。クローゼットからパントリー(食品庫)にいたるまで、まるでお店がお家にあるような美しさを演出して暮らしを楽しみます。

さて、子育てにおいても子供の姿が自然と「見える化」する間取りやプラン、動線を考えたいものです。昨今の引きこもりなどの社会問題を背景に、子供をできるだけ一人にしない、でも無理やり連れ出してくるわけでもない、ごく自然な仕掛けを考えてみましょう。
そのひとつのアイデアが、リビングやダイニングと一体となった「キッズリビング」です。子供専用のオモチャ収納家具を置いたり、棚をつければ、自分で片付ける習慣も身につきます。自分だけではないパブリックスペースだから、遊び終わったらきれいにしておく意識も芽生えるかもしれません。

一戸建ての場合、1階がLDKなどのパブリックスペース、2階が寝室や子供部屋などのプライベートスペースに分かれますが、こうした階によるゾーニングがしやすいのも、ワンフロアであるマンションにはない一戸建てのメリットでしょう。
子供ながらに1階は家族とコミュニケーションをとるところ、2階は一人で考え事をしたり、勉強したりするところ、といった心理的な切り替えができます。
この場合、1階のパブリックスペースをできるだけオープンにしたいものです。その目的は「家族に開いた」スペースを作り出すことにあります。大きなダイニングテーブルを置けば、そこで食事をし、趣味やパソコン、宿題、読み聞かせもできるような多目的なスペースが生まれます。

1階がオープンなら、2階は個室志向......ではありません。2階の子供部屋もオープンにしたっていいのです。ベッドや机、本棚など、子供部屋にすべての環境を整えてしまうと、子供はどうしても部屋に閉じこもってしまいがちになるからです。
そこで提案したいのが「学寝分離」という考え方です。個室はあくまでも「睡眠をとる部屋」としてベッドと着替え程度ができるクローゼットのみが置かれた3畳程度にし、「学ぶ場所」や「くつろいで本やマンガを読む場所」は部屋のあえて外に出して、階下のリビングやダイニングなどにもつながるオープンな吹き抜け廊下などに出すプランです。こうすれば、寝るとき以外は個室に用はないのでこもりにくくなり、親の目が届くところで遊んだり勉強したりしてくれるわけです。2階の吹き抜け廊下に面したデスクで勉強しているときも、吹き抜けからリビングやダイニングの家族の気配を感じることができ、「一人じゃない」「だれかに見られているかもしれない」というソフトな監視効果も働くでしょう。

また一戸建てならではのメリットとして最近増えているスキップフロアも活用したいところ。階段の踊り場などをラウンジスペースとし、リビングから半階上がったところで宿題や勉強をする。個室にはない、見晴らしの良さが生みだす安心感とソフト監視効果があり、分からないところはすぐ家族に聞ける勉強環境もいいのではないでしょうか?

子供のために知恵をしぼって家を建てても、それが必要な時期は永遠ではありません。 子供はいつか巣立っていき、入れ替わりに年老いた両親を介護したり、自分たち夫婦のどちらかを介護したりすることになるかもしれません。 そういう先々まで見据えたとき、可変性のある間取りの配慮がとても大切です。
たとえば、兄弟の個室を完全に仕切らない、共有クローゼットでソフトに仕切るようなプランにしておけば、図のように介護に適したスペースとして役立ちます。
お年寄りが一人でトイレに行けなくなった場合、介添え者が夜もつきっきりで傍にいなくてはいけません。
そんな時、こうしたソフトに仕切られた2部屋同士なら、トイレに行きたい様子や容態の変化もすぐ介添え者が気付くことができます。
ところでバス・トイレ・浴室などの水周りが一カ所に集約している一般的な間取りは、配管を通すうえで効率的でリフォームもしやすいプランですが、なかには来客が洗面室やトイレに行く際、バスルームが見えてしまうことを嫌い、あえて位置を離すケースもあります。
子供がいない、お年寄りがいない、といったある時期だけならいいのですが、子育てや介護にも対応できるためには、やはり一カ所集約のほうが便利かもしれません。 というのも、まず子供はトイレトレーニングの時期があり失敗することはしょっちゅうですし、お年寄りのトイレも大変になります。 そうしたときに汚れものをすぐ洗面室や浴室で洗う、汚れた体もそこで洗うといった動線は非常に便利といえます。
「見える化」を意識した間取りで、子育てから介護まで腑観してみましたが、間取りはいわば、家族一人ひとりの動線の形であり、生き方そのものです。こんなふうに考えてこの春、間取りから家づくりを考えてみてはいかがでしょうか。

2009.11.27