
収納に関するまめ知識や“なるほど”情報をお届けします。

スペインは闘牛やフラメンコが有名な、ヨーロッパ南西部にある国です。
地中海に面した南部アンダルシア地方は、夏の陽射しがたいへん強く、気温が40℃を超す強烈な暑さになります。この地方では、そんな強い陽射しを遮るため、住まいは厚い石の壁と頑丈なスペイン瓦でおおわれています。そしてどの家も壁の外側は石灰で白く塗られていて、遠くからみると雪のかたまりのようにも見えます。
なぜ壁を白くするかというと、白は陽射しを反射する働きがあるからです。太陽の熱で壁が暖まるのを防ぎ、住まいの中が暑くならないようにしているのです。
また、この地方の陽射しは強いのですが、雨のあまり降らない乾燥した気候なので、陽射しさえ遮ることができれば、ひんやりとした涼しい場所になります。陽射しを避けるために、谷あいの岩をくりぬくなど、自然の地形を利用した住まいもみられます。
ここに暮らす人々は、陽射しが強い日中は厚い壁におおわれた屋内にいて、日が落ちる夜の7時から8時ころから外に出て、食事をしたり、散歩やおしゃべりをしたりして楽しんでいるのですよ。
インドの西隣にあるパキスタンは、古代四大文明のひとつであるインダス文明が栄えたモヘンジョダロ遺跡のある国です。
この遺跡のあるシンド州には、変わった形の仕掛けをもつ住まいがあります。
屋上にあるこの仕掛けは、四角い煙突を対角線で半分に切り取ったような小さな壁に、木の屋根をかけただけの簡単なつくりをしています。これは現地のことばで「ハワ・ダン」とよばれる風受け装置で、川や海から吹く風を、家の中にとり込んでいるのです。
ひとつの住まいにいくつかの「ハワ・ダン」が取り付けられていて、風受けの傾斜と向きがどれもみんな同じなので、街を眺めると、「ハワ・ダン」が立ち並ぶ独特の風景が広がります。
この地方は近くに沙漠もあって、雨が極端に少なく、年中厳しい暑さが続きます。
しかし、昼と夜の温度差は大きく、夕方になると涼しい風が吹いてきます。この風の向きに合わせた「ハワ・ダン」で、室内は涼しくなるのです。
昼が厳しい暑さでも、夜ぐっすり眠ることができれば、また明日の活力が生まれてきますよね。
陽射しが強く、湿気の多い熱帯気候の地域では、住まいの床を高くして風を通りやすくする工夫が多くみられます。
赤道の近くにあるインドネシアのニアス島も、そんな住まいが建てられているところです。
家の材料は、島に生えている植物です。柱にはコクタンの木を使い、屋根はヤシの葉で葺(ふ)きます。円形につくられた室内は、大広間を中心には伸び伸び自由な空間で、天井も高くなっています。
そして、大きなヤシの帽子をかぶせたような家ごと、たくさんの柱で持ち上げられています。屋根には風が抜けるための窓が数か所ついていて、家の中に入った風の抜け道になっています。床の下にある柱のうち斜めのものは、地震の多いこの地方でみられる、独特の仕組みでもあります。
床を高くすると、カビの発生や害虫が増えるのを抑えられます。そして地面の湿気から離れた室内は、床下に日陰をつくり、そこを通る風によって「ヒンヤリ空間」がつくられます。
この「ヒンヤリ空間」と自由に風が通る高い天井に挟まれて、室内は涼しさを増すのです。
2010.07.28